ネギのサレ妻日記　１８話　～君はお母さん～

息子が２歳のとき、夫に不倫をされて離婚した。
今おもえばあれは夫からの一番のプレゼントだったのかもしれない。
各話リンク

第１８話　君はお母さん

「ネギちゃんはもう家族だからさ…息子のお母さんというか…」

何いってんだこいつ。

嘘でも愛してるなんて言えないんだなと、思わず鼻で笑いそうになって頬の内側の肉を再び噛んだ。
口内炎ができたらどうしよう…。

お前の中では家族には何してもいいのか。

息子の母親として
夫の母の面倒をみる嫁として
親戚付き合いを代わりにやってくれる相手として

夫のいう家族って、夫が楽になるツールみたいなものなのだろうか。

夫を追い詰めたい衝動に駆られたが、弁護士から与えられたミッションを思い出し踏みとどまった。
まだ言質は取れていないのだ。

「それは私のことを女として見れないってこと？」

私はゆっくりと言葉を絞り出した。
まるで傷ついているように。

しばらく沈黙が続いたあと、夫は申し訳なさそうにうなずいて「ごめん…」と言った。

「私が今後どう努力しても無理？」

もちろん努力するつもりなんてなかったが、今日の私のテーマは悲劇のヒロイン。
夫とやり直したくて夫の愛を取り戻したい健気な妻だ。

こんなに健気に努力してる妻に対し、無慈悲な夫という内容がこの録音には残されている。

「うん‥ごめん」

夫の辛そうに歪ませた顔を見て、ここにも悲劇のヒロインがいるとどこか冷静に見つめていた。

しかしこの時私は、我が家には悲劇のヒロインがもう1人いたことを忘れていたのだった。
それもモンスター級の悲劇のヒロインが。

登場人物紹介

ネギ…当時20代後半。会社員でパワフル。

ニラオ…ネギの元夫でシタ夫　美容師　ネギの2つ上　ナルシスト。

尻軽りん子…ニラオの職場のアシスタント。不倫女。

ネギ坊主…ネギの息子で２歳。保育園に通っている

ネギーボ…ネギの義母。同居している

つづく

お昼１２時に「搾取され夫」の連載と交互にやっていきます。

スレッズで途中まで連載していたものを整理しました。今のところブログSNS限定でなにかあれば消す期間限定連載です。よろしくお願いいたします。

現在の他の連載はこちら

kindleで一気読みできます！